シダーは、黒いねっ。
*知らないうちに曲数が増えてる~。
Spectrum
Cedar Walton
Cedar Walton
Piano
Blue Mitchell
Tp–1,3,4,5
Clifford Jordan
Ts–1,3,4,5
Richard Davis
Bass
Jack DeJohnette
Drums
Recorded at May 24, 1968, NYC.
Prestige
Cedar Walton(シダー・ウォルトン)と言うピアニストが大好きだ。クラシックの素養も有り『JAZZ界のショパン』と呼ぶ人が居るほどの華麗なテクニックを持ちながらそのリズム感はBluesやSoulのそれに近い。1960年代と言う古くから現在までずっと活躍している人なのに注目されたのはつい最近のここ10数年くらいだと思う。本当に素晴らしいピアニストだから、今からでも遅くは無い、是非聴こう(笑)。
客演、バンドのメンバーとしての活躍が多く、彼名義ではトリオでの演奏で注目されだしたと思うけど、私はホーンが有った方が好きかな。トリオだとどうしても叙情的に流されやすいようにも感じる。まぁそう言うのを聴きたいと思う時も有るし彼のピアノの美しさを味わうのにはトリオの方が素直に楽しめるかもしれない。
今聴いているのは2管参加の1968年に録音した『Spectrum』と言うアルバム。彼にとって本人の名義でのアルバムでは二枚目に当たるはず。1968年頃と言えば、音楽がビッグ・ビジネスとして成り立つという事が浸透し始めJAZZにとっては厳しい時代が始まった頃だと思う。また色々な音楽を吸収して肥大してきたJAZZにとっては大きな転機に当たる時期だろう。このアルバム自身も他のジャンルの影響をあちこちに感じさせてくれる。
1曲目の友人のドラマー、ヒンギスの名前をつけた曲のイントロのカッコ良さはシダーらしいメロディの賜物だとも言える。私がシダーに始めに惹かれたのは、ピアニストと言うよりもその作曲能力だった。作る曲が素晴らしい。
2曲目の『酒とバラの日々』だけがトリオでの演奏になっているんだけど、こう言う演奏を聴いてJAZZ界のショパンと言ったのだろう。リズムの2人がJAZZをやっているけど彼自身は、それを超えた『ピアニスト』になっている。
このアルバムは5曲の内3曲が彼の作曲なのだけど5曲目のカル・マッセイ作曲のレディ・シャーロットもシダーっぽくなっている(笑)。ピアニスト・シダーのJAZZプレイヤーらしさが良く出ている曲だと思う。
このアルバムは、あのJAZZの危険な時代にJAZZらしさを忘れずに、それでおいて新たな感覚を自然と取り入れた中々良いアルバムだと思うけど…知名度低いって言って廃盤になりそうなのが怖い(笑)。